家選びも燃費時代へ改訂?これからの住宅性能基準はどうなる
省エネ基準については、2013年(平成25年)の法改正により、外壁や窓などの「断熱性能」に加え、設備の性能や省エネを総合的に評価する「一次エネルギー消費量」基準が加わり、建物全体のエネルギー消費量を減らす基準が導入されました。
さらに現在では、「ZEH」や、「HEAT20」という団体が提唱する新たな基準など、さらに高レベルな基準もあります。これから住宅購入を検討する方は、こうした性能向上の流れを踏まえて、一歩先の家づくりを目指しましょう。
ZEHやHEAT20ってなに?
政府は2050年に向け、温室効果ガスの排出を総合的にゼロにする「カーボンニュートラル」、および「脱炭素社会」の達成を目標としています。そこで近年、特に注目されているのが住宅性能です。 なぜかといえば、二酸化炭素の排出量が大きい分野のひとつが「家庭」だから。これまでにも日本の省エネ基準は何度か見直されてきましたが、上記の宣言を受けて昨年以降より一層積極的な取り組みが行われるようになったので、性能基準も急速な変化を強いられているというわけです。
そこで、省エネ住宅を考える上で最近よく見かけるのが「ZEH」や「HEAT20」という言葉。これは一体どのような意味なのでしょうか?
ZEH
ZEHはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略なのですが、簡単に言えば「エネルギー収支をゼロ以下にする家」となります。家庭で使用するエネルギーと創エネ(太陽光発電等で作られたエネルギー)を相殺し、消費量を実質ゼロにするという住まいです。一般的には高断熱・高気密な住宅性能を持ち、「創エネ」を実現できる再生可能エネルギーシステムが搭載されています。国による補助金制度等を受けられる可能性もあるため、資金的なメリットも大きいと言えるでしょう。
HEAT20
一言では「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」のことであり、外壁や屋根、床、窓などの“外皮”部分における省エネ性能の評価基準を設けたもの。国が定めた平成28年度の省エネ基準より厳しいのが特徴で、2022年10月現在はG1からG2、G3といったグレードが設けられています。数値が大きくなるほど性能が上、ということになるので、覚えておくと良いでしょう。
これから先も、住宅性能基準は
上がり続ける見込み
ZEHやHEAT20はある程度分かりやすい目安ですが、2022年4月1日には新たなZEH水準の等級として「断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6」が設定されました。
しかし、断熱性能については早くも2022年10月に更に上位の等級「断熱等性能等級6、7」が設けられることが発表されており、住宅性能基準が目まぐるしい速度でレベルアップしていることが分かります。
こうなってくると、今後もより一層求められる住宅性能は上がっていくことが予想されるでしょう。近い将来には省エネ基準への適合が「義務化」されるのではないか?との見通しもあり、これまで対応が難しいと思われていた小規模な事業者等も、適切な省エネ住宅の知識や技術を身に着ける必要がありそうです。
省エネ住宅は初期費用が不安な方もいるでしょうが、普及のために国も様々な補助制度を設けていますから、数十年先の未来を考え、省エネ住宅を検討してみてはいかがでしょうか。